土星回帰について........ On Saturn Return

一部の人々は、それが良きものであれ悪しきものであれ、29歳から32歳の間に人生における重大事を体験します。これは所謂”土星回帰(Saturn Return)” がもたらしている場合が多いものです。

 

土星の公転周期は約29.5年ですので、各自が29歳の頃に、出生時に居た星座に回帰します。また、土星は1つの星座に約2年半もの間滞在します。このため、出生図において土星の影響が強い人ほど、29歳から32歳の間に何らかの重大事を体験しやすいのです。

 

 ※なお、この土星回帰という考え方は西洋占星術の考え方です。インド系占星術(Jyotish/Vedic astrology)では、所謂サデ・サリ(土星が7年半かけて、出生チャート上で月が在する室の直前の室から、反時計回りに、月の居る室そしてその次の室へと移行する)影響の方が概して重視されています 。

 

土星は、占星術上は最大の凶星とされていますので、体験も又強烈である場合が多いのです。無論、土星が出生図において好影響を有している人は、とりわけこの期間に好ましい体験をします。

またサデ・サリは、土星が出生図において好影響を有している場合は、さほど気にする必要はありません。 

言うまでもなく、他の惑星もそれぞれの公転周期に応じて回帰しますが、土星回帰がとりわけ注目を浴びるのは、上述のような事情からです。

なお、土星が出生図において好影響を有している方々は問題ありませんが、悪影響を有している場合、「”生存”して行く上で極めて不都合な事態」が発生します。収入の途絶、失業、重大な病そして場合によっては落命します。これは、土星が「死の神」であるヤマ(Yama:仏教で言う閻魔)と深く結びついているためです。

各グラハは、それぞれ異なる神々と結びついているのです。

土星は数字で言えば、7、8及び14と深い関係を有しています。

各自は一般論で言えば、14歳の頃及び上記のように29歳から32歳にかけて”当初の影響”を受けます。

 

2014年4月時点で、ここ数ヶ月の目立った事件報道を取り上げて見ると、

・2013年12月28日

南米エクアドルで、日本人新婚夫婦が強盗団の銃撃に遭い、新郎(30歳)は死亡、新婦は重傷。

・2014年4月1日

長野県で31歳の男が男女2名を殺害。

・2014年3月~4月

理化学研究所の小保方晴子氏(30歳)がSTAP細胞問題で世間を騒がす。

・2014年4月18日

女性研修医(29歳)が医療過誤を犯し、78歳の患者を死亡させる。

............................................................................................

勿論、こうした大きく取り上げられる事件は氷山の一角に過ぎません。

 

土星が一定以上機能的𠮷星としての要件を備えていれば、当然ですが、29歳から32歳の間に恵を受けます。

Eckhart Tolle 氏は、29歳の頃に”深刻な恐怖の体験”をし、その後一種の悟りが開けたと書いています。土星は恐怖という感情を支配しますので、そうした事になったのでしょう。但し、土星の上位神はシヴァ神であり、シヴァ神は意識の表示体です。また、土星はギリシャ神話では時を支配するクロノスとして描かれています。Eckhart Tolle 氏が、とりわけ”時間”や”意識”に関することを主張しているのはこのためです。

さて、Frank J.Kinslow なる方がおり、Eckhart Tolle 氏と本質は全く同じことを述べています。Kinslow 氏はカイロプラクターを業としていたとのことですが、土星は人体にあっては骨格即ち骨を支配していますので、カイロプラクターという職業は土星の支配下にあります。整骨師なども同様です。Kinslow 氏も意識又は純粋な意識ということ主張しているわけですが、シヴァ神は意識の表示体ですので、これら両氏はまず土星の影響が強い方々であり、出生図において土星が一定以上の機能的𠮷を有しているため、現在書籍などで意識や時間というものに重点を置いて主張するようになっているに過ぎません。

つまり、運命(ナヴァグラハの支配)内にあるという点では、ごく普通の人々と何ら変わらないのです。

 

Saturn
Saturn

我々の心に一つでも想念(思考)が浮かんだり、指一本動かすような行為でもすると、その引金は深いところでグラハが引いているのです。自由意志というものは基本的にありません。科学的には、ベンジャミン・リベットなる方が既に1980年代に、”人間には何かを考えるとか、何かを行うという意味での自由など存在しない”という事実を腦科学の見地から実験によって証明しています。

 

では自由意志が全く存在しないとすれば、我々各自の人生は一体何のためにあるのか、という問題が生じます。しかし、我々は自由意志と言えるほどのものは有していなくとも、”意識”は有しています。救いはこの”意識”にかかっていると言わなくてはなりません。

 

数字”14”について

四柱推命の入門書は多数存在していますが、私は歌丸光四朗氏著「四柱推命の秘密」は、入門書としては良書であると思います。阿部泰山全集などの純専門書は東京神田の専門書店(原書房など)で買っても数万円はします。

 

この歌丸光四朗氏の著作に興味深い記述が見られます。以下同書第19ページから引用。

 

".....以前、東大病院に「帰らずの部屋」という薄気味の悪い別名の付いている病棟があった。公式の名称は「坂口内科第14号室」というのであったが、看護婦や古い患者の間では「帰らずの部屋」として有名であった。病院の当局や医者は知らなかったと思う。

私もこの部屋に2ヶ月足らず入院したことがある。私の場合は、急性腎臓炎という気楽な病気であったから、不帰の客になることなどは少しも心配しなかったが、この2ヶ月足らずの間に、同室の患者たちは次から次へと実によく死んだのには驚いた。なるほど「帰らずの部屋」であると思った。

ベッドが14くらいもある大部屋であったが、新しい患者が入ってきたかと思うと、4,5日後にはそのベッドのぐるりに衝立(ついたて)がめぐらされる。ご臨終である。................. "以下省略

 

歌丸光四朗氏は、四柱推命や五行易(断易)の達人ではありましたが、インド占星術(ヴェーダ星学)は知らなかったようです。

数字の14は、土星と密接に繋がっています。数字の7(土星のヤントラ数)が土星の善の面を表すのに対し、数字の14は土星の好ましくない面を表すのが普通です。土星は前述のように死の神Yamaと深く関連しているのです。

グラハの使者達

かつて私のメンター(mentor)の一人であった、故Thomas Ashely Farrand 師は、29歳から32歳の頃の体験を次のように話しています。

 

「当時私は企画・立案等のプロデューサーをしていた。ある日いつものように出勤しようとして玄関を出ると、玄関脇の立木に大きなカラスがとまっていて、じっと私を見ていた。私は別に気にすることなく会社へ行ったが、その日は職場で惨憺たる目に遭った。

その数日後、出勤しようとすると今度はテラスの手摺にカラスがとまっていた。その日も又、勤務先でひどい目に遭ってしまった。これはその後も再三繰り返し起こった。」

「あまりに奇妙なので、知り合いの占星術師にこの件を打ち明けたところ、”カラスというのは土星の使者の一種であって、今の君は土星回帰の時期にあるのでそうした事が起こっているに過ぎない” 」

と言われたとのことです。

 

ある米国人女性の場合、出生図では水星が機能的凶星となっていて、第2室に座していたのですが、その水星がAntardasa(アンターダシャー)で巡った時期に、ふとした事から野良猫に目をひっかれてしまい、全治3ケ月という重症を負ってしまいました。ちなみに猫は水星の使者の一種です。また、第2室と第12室は、それぞれ人の左右の眼を表します。

かように偶然などという物は、全く存在しません。

 

ある男性の場合、測量業務に従事していたのですが、特定の2ヶ月ほどの間に、左右の人指し指を再三怪我し、一度は左手人指し指切断の可能性のある重傷を負いました。彼の出生図とダシャー(行運)を見ると、木星(guru)が凶位置に座し、それに対して第8室の支配星である土星がdrishiti(アスペクト)を与えています。第8室は事故や”偶然”を引き起こします。ちなみに人指し指は木星が支配しています。

 

かように、Jyotish(ヴェーダ星学)的観点からすれば、”偶然”など存在していないのです。ただ一般人は、因果関係が分かっていないだけの話です。

 

 

Yama(閻魔)の本性

Yama(ヤマ)は、人類史上”最初に死んだ人間”とインド古来の神話では伝えられています。ちなみにヤマは土星の兄弟です。

ヤマは死後、天上に昇り「死者のための天国」を創設したというのが本来の伝説です。そこは花々が咲き乱れ、美しい世界でした。ヤマは死者達をこの天国へ迎え入れたと伝わっています。

 

後世に到り、ヒンドゥー教やその親類関係にある仏教が政治的に利用されるようになり、ヤマ(閻魔)が人を裁くような恐ろしい存在として伝えられました。「法を犯すとヤマ(閻魔大王)の裁きに合ってくるしむぞ!」という政治的脅しによって人心を支配しようとしたのです。

無論これは後世の支配者達の勝手な考えです。

 

本来のヤマ(閻魔)は、人を断罪するような恐ろしい存在ではありません。実際のヤマ(閻魔)は大変優しい存在です。私は過去に、Yamaと出会ったことがあります。死の間際まで行ったことが4回程あるということです。一度は実際に”死にました”(笑)。

 

ヤマの創設した死者達の天国とは、ロバート・モンロー風に言えば、所謂”フォーカス27”に相当します。

 

土星は最たる低級グラハですが、土星が崇め立てるハイヤーセルフであるシヴァ神は高級神です。神々の教師とも呼ばれる高級な木星(Bhrihaspati, Guru)と異なり、土星は自分が低級である事実を自覚していますので、高級神であるシヴァ神を崇拝しているという訳です。

例えて言えば、庶民(土星)が、天皇・国王(高級神)に対して”万歳”と歓呼しているようなものです。

 

 

 

土星と木星の対照性

土星は最たる本来の凶星(natural malefic)ですが、これに対し木星は最たる本来の吉星(natural benefic)です。

 

土星はダシャー(dasha)/行運で巡った場合、まずそのダシャー期間の当初に最大の影響をもたらしますが、徐々に尻すぼみに影響を弱めます。これに対し、木星はダシャーで巡った場合、当初の影響は小さくとも終末(後半)にかけて尻上がりに影響を強めます。

かように、この両者は極めて対照的な性質を有しています。いわば土星は右肩下がりであり、他方木星は右肩上がりなのです。

 

土星の性質と特徴

本来の星位(星の階級)では、太陽は王、月は王妃、水星は王子、木星と金星は大臣、火星は将軍そして土星は庶民とされています。土星は位が低い訳ですが、これにはそれなりの理由があります。理由はともかくとして、土星は最低クラスの星とされているため、その性質、特徴も又最低クラスと言えます。

土星は人の欠点を突くことが大好きな星であり、且つ人種差別、民族差別及び出身地差別も大の得意ときていますので、その性質や押して知るべしなのかも知れません。とかく”卑劣、低級”という点では他の星を大きく上回るダントツ振りを発揮します。

 

潜在的に何らかの慢性病の因子となるものを抱えている場合、土星回帰の頃又は土星がマハーダシャーやアンターダシャーで巡った時期に発病することが多いのです。これは上記のように土星が人の欠点や欠陥を突くことを得意としているためです。普段は隠れている欠点や欠陥をほじくり出すのが土星の特徴の一つです。土星が別名”カルマの星”とも称される所以です。

 

土星はまた”いじめの専門家”でもあります。人の欠点をつき差別して辱めようとするのが土星です。このため、いじめっ子は相手の欠点を突き、”顔が○○だ” ”臭い” ”○○の出身だ” などといって差別し、いじめを行います。

 

他方、土星は又卑屈な性質を有していますので、それまで自分が差別し、いじめていた相手が何らかの意味で力を有する存在になると、とたんに揉み手をして接近し相手を利用しようとします。かように土星は本性自体が”暗愚(所謂tamas)”なので、忌み嫌われて当然なのです。

 

心理学的に土星を観れば、土星は自分が最低クラスの劣った存在であることを内々意識しています。このため自己の”劣等感を補償”しようとして、他者の欠点を突いて差別して来るという訳です。”下が欲しい”というメンタリティーの持ち主です。

土星はまた、”恐怖・恐怖心”の与え主です。対人恐怖症、パニック恐怖症等の恐怖感を主とする病は土星がもたらしている場合が大半です。更に土星は、うつ病の症状に見られがちな、落ち込みや落胆、絶望感といった心理状態をももたらします。うつ病も又、土星の仕業である場合が多いのです。

土星の代表石はブルーサファイアであり、その色は勿論青です。色彩心理学で言えば、青は収斂、収縮の効果を生みます。また人目を吸い込むという心理的効果を有しています。(逆に、木星の色である黄色や金色は膨張、拡大という心理的効果を有する)

収斂、収縮を人間心理に当てはめると、行きつく果ての一つは所謂”引き籠り”です。引き籠りは心理的萎縮の典型ですが、これも又、土星の悪影響である場合が大半です。収斂⇒収縮⇒萎縮。ざっくばらんに言えば、”恐怖で縮みあがっている”という訳です。キーワード的には、恐怖、収縮、萎縮というのが土星の特徴なのです。

悪魔は、Satan(サタン)と呼ばれますが、土星(Saturn:サターン)と発音が類似しているのは偶然ではないのです。

火星も又、土星同様本来の凶星で、機能的に吉星化していない場合は災いをもたらします。火星のもたらす災い(危害、疾病等)は瞬間的乃至は短期的なものであるのに対し、土星のもたらす災い(危害、疾病等)は”陰湿で長期間”に渡ります。

 

※ちなみに統合失調症は土星の親族であるRahu(ラーフ)がもたらしているケースが多いものです。これには幾多もの実例を見ています。

 

しかし、本性が低劣・卑劣な土星でも機能的吉星化の度合いが高ければ、勿論吉の作用もします。土星が機能的吉星として作用する場合、通常は”基盤整備、土台造り”としてそれが表現されます。土星の星位は最低クラスですので、社会で言えば底辺層に当たるため、土台、基盤という意味合いがある訳です。

なお一般論で言えば、土星の巡る時期にはとりわけ”経済的困窮”が発生しやすくなります。これには幾多の例を見ています。

 

但し、土星(shani)の名誉のために一言述べておきます。David Frawley氏は土星について、most rewarding planet (最も報いを与える惑星)でもあると述べておりますが、それはその通りです。土星は自らに害をなす者には、その害を数倍にして報復しますが、恩恵を与えられた場合、同様に数倍にして報恩します。

また、土星の特徴は求心性(悪く言えば萎縮性)ですので、瞑想行に対し土星は好影響を与えることがあります。

 

グラハ(惑星等)と色彩心理学

日本のある街の繁華街では、飲酒がらみの犯罪が多発していました。そこで、心理学の専門家の意見を取り入れて、その繁華街の街灯を従来の白色灯から全て青色灯に取り替えたところ、飲酒がらみの犯罪が相当に減少したそうです。

青色が眼に入ると心理的には萎縮状態が発生します。飲酒した心理状態というのは自我の過剰な膨張と言えます。そこで、萎縮をもたらす青色の光を眼に入れさせることで、自我の過膨張を抑制したというわけです。

 

米国のある州立刑務所で、数十年前に興味深い実験が行われました。その刑務所では囚人らによる刑務所内での犯罪や暴動騒ぎが頻発していました。そこで所長らが一計を案じ、刑務所内の壁と言う壁を全てベビーピンク色に塗り替えてみたのです。すると、従来多発していた刑務所内での暴力事件や暴動事件がガタンと減少したということです。この事実は後に書物としても米国内で出版されました。

 

※私はその原書を読んだことがありますが、邦訳は未だ出版されていないようです。読んだだけではなく、240ページほどの原書を日本語に訳したのですが、30年前当時は、あまりに内容が特殊であり、一般受けしないという理由で、出版を断れました。

 

ベビーピンク色というのは月の支配する蟹座を示す色です。月は母性と深く関わっているため、ベビーピンク色が眼に入ると、人は無意識裡に自分の母親を想います。母親は心の安らぎの象徴ですので、自然と心がなごみます。それが刑務所内での暴力沙汰の減少に役だったという訳です。